大学の給付奨学金と授業料減免は、どちらも返還不要の学費支援制度ですが、支援の仕組みと対象となる費用が異なります。
授業料減免は、大学に支払う授業料や入学金を減額・免除する制度です。一方、給付奨学金は、学生本人に支給されるお金で、生活費や教材費などに充てることができます。
2つの支援は、条件を満たせば併用できます。ただし、支援額は世帯の所得、学校の種類、通学形態、多子世帯への該当状況などによって異なります。この記事では、違いを比較表で整理し、支援額の目安、併用条件、申請方法を解説します。
この記事で押さえる点
減免=学校に払う学費を減らす
授業料・入学金が制度上の上限まで減額・免除されます。超過分や諸経費は残ることがあります。
給付=学生に振り込まれる返還不要の支援
区分や通学形態に応じた月額があり、生活費などの足しになります。減免とは別枠です。
併用できるが、額の出方は同じではない
同じ支援区分でも減免と給付で厚みが違います。多子で減免だけ厚い、といった差も出ます。
給付奨学金と授業料減免の違いを比較
高等教育の修学支援新制度は、授業料・入学金の減免と、給付奨学金の両輪で負担を軽くする設計です。ニュースではまとめて「大学無償化」と呼ばれやすいですが、費目も使い道も違います。
| 比較項目 | 授業料・入学金の減免 | 給付奨学金 |
|---|---|---|
| 支援の目的 | 学校に支払う学費を軽減 | 学生の生活費などを支援 |
| 対象費用 | 授業料・入学金 | 生活費・教材費など |
| 支援方法 | 学校を通じて減額・免除 | 原則、学生本人に振り込み |
| 返還 | 原則不要 | 原則不要 |
| 金額の決まり方 | 学校種別・支援区分など | 支援区分・通学形態など |
| 併用 | 条件を満たせば可能 | 条件を満たせば可能 |
| 多子世帯の扱い | 所得制限なしの減免制度あり | 給付額は別途所得などで判定 |
授業料減免は「学校に支払う金額を減らす支援」、給付奨学金は「学生に支給される返還不要のお金」です。両方とも学費負担を軽減する制度ですが、支援方法と使い道が異なります。貸与型奨学金(返すもの)とも別です。
授業料・入学金の減免はいくら受けられる?
支援区分や多子枠に応じて、国公私ごとの上限まで授業料・入学金が減免されます。次の表は満額寄りの制度上の上限の目安です。実際の減免額は支援区分や学校の費用、適用条件などによって変わります。
| 大学の種類 | 授業料減免の上限(年額) | 入学金減免の上限 |
|---|---|---|
| 国公立大学 | 535,800円 | 282,000円 |
| 私立大学 | 700,000円 | 260,000円 |
実額が上限以下なら自己負担が小さく見え、上限を超える私立などは差額が残り得ます。入学金は初年度のみ・任意入力でも試算できます。減免は「現金が振り込まれる」というより、学校への支払いが減るイメージで捉えるとわかりやすいです。
所得区分による違いの整理は、大学無償化は年収いくらまで?もあわせてご覧ください。
給付奨学金はいくらもらえる?
JASSOの給付奨学金は返還不要で、区分・自宅/自宅外・学校種などに応じた月額があります。授業料の減免とは別に支給され、生活費や学用品などの足しになります。所得区分が薄いと給付が小さい・出ない、多子で減免が厚くても給付は所得次第、といった差が典型です。
条件を固定した月額の例(当サイトの大学シミュレーターと同じ公開額帯)は次のとおりです。これは特定条件の目安であり、誰でも同額が受け取れるわけではありません。
| 条件の例 | 給付奨学金(月額) |
|---|---|
| 私立大学・自宅通学・第Ⅰ区分 | 38,300円 |
| 私立大学・自宅外通学・第Ⅰ区分 | 75,800円 |
| 国公立大学・自宅通学・第Ⅰ区分 | 29,200円 |
第Ⅱ〜第Ⅳ区分では月額が小さくなります。最新額・細かい条件はJASSOの支給額表を確認してください。減免上限額と給付額を単純合算して「誰でもその額を受け取れる」と見なさないでください。
給付奨学金と授業料減免は併用できる?
条件を満たせば、授業料・入学金の減免と給付奨学金は併用できます。いわゆる大学無償化の制度は、もともとこの2つをセットで設計しています。
ただし「併用=両方とも満額」ではありません。支援区分によって減免の厚みと給付の月額が変わり、多子世帯では減免側が厚くても給付が小さい・出ないこともあります。貸与型奨学金との併用・調整は、本記事および当サイトのシミュレーターの対象外です。
多子世帯は給付奨学金と授業料減免の両方が対象?
扶養する子が3人以上などの多子世帯は、所得制限なく授業料・入学金を制度上の上限まで減免できる枠があります。一方、給付奨学金は所得などに応じた支援区分の影響を受けます。
そのため「多子だから減免も給付も必ず満額」とは限りません。減免と給付は分けて確認するのが安全です。
多子枠の条件と減免上限は、大学無償化は子ども3人以上が対象?で整理しています。
給付奨学金と授業料減免の申請方法
高等教育の修学支援新制度は、原則として学校を通じて申し込みます。進学前の予約採用と、入学後・在学中の在学採用があり、募集時期や提出書類は学校・区分によって異なります。
- 進学前 … 在学校(高校等)を通じた予約採用の案内を確認する。
- 入学後・在学中 … 進学先の学生課・奨学金担当の案内に従い申し込む。
- 減免と給付 … 同じ制度枠組みの中で申し込むことが一般的だが、手続・提出物は学校の案内に従う。
具体的な期限や必要書類は、各学校およびJASSOの最新案内が優先です。
シミュレーターで減免額・給付額を確認
大学シミュレーターの結果では、授業料の減免・入学金の減免・給付奨学金を分けて表示します。減免後の学費負担と、受け取れる給付奨学金は別々に読んでください。
計算方法のイメージとして、次のような仮定例があります(特定の支援区分の実額ではありません)。
| 項目 | 金額(仮定) |
|---|---|
| 年間授業料 | 900,000円 |
| 授業料減免額 | −700,000円 |
| 減免後の授業料負担 | 200,000円 |
| 給付奨学金(仮定) | 300,000円(年額) |
当サイトでは、給付奨学金は支援合計に含みますが、学費の自己負担額から直接差し引く計算にはしていません。区分が分かれば区分を、分からなければ年収と扶養人数から推定してください。正式な可否・額はJASSOおよび在学校の案内が優先です。
減免と給付を分けて目安を試算
大学シミュレーターで、授業料減免・入学金減免・給付奨学金の目安をまとめて確認できます。
主な出典
都道府県独自制度は年度・制度ごとに要件が変わります。正式な可否は学校および都道府県の案内が優先です。